建築論とは

建築architectureとは、もともとアルケーarchēの学・術を意味していて、本学の建築論は、この建築のアルケーを探究する学問として森田慶一によって始まりました。建築のアルケーとは、端的に〈自然〉だと考えられます。建築とは、自然を基本条件とし、自然を利用し、人工的な環境を構築する営みであり、究極的にはふたたび自然に近づくことを目指しています。建築論では、このように建築を生活環境を構築する総合的な学・術と捉え、建築の条件、造形原理、理念を探っています。


研究課題

人間と自然の関係は、今日、地球規模の気候変動というきわめて深刻な事態に至っており、人工的環境の拡大に邁進してきた近代文明は大転換が求められています。こうした人類が直面する危機的な課題を念頭に、建築のあり方を問い直すことを研究の大目標としています。

しかし、いきなり地球規模の問題に取り組むことはできないので、人間の居住環境を自然と人工物、様々な活動が織りなす〈都市組織urban tissue〉として捉え、都市組織のなかでの建築物のあり方を考えることで、地球環境問題に寄与したいと考えています。

 


研究テーマ

1.近代建築家の建築論研究:建築と自然の関係に関する建築家の言説の分析。とくに、モダニズム建築初期(1910年代建築論、分離派建築会)、戦後期(増田友也)の建築論。

2.都市デザイン論:都市組織の形成過程の調査と分析。都市組織を再編する都市デザイン手法を調査する。また、具体的な都市デザインを提案する。(京都東九条プロジェクト、1910年代のル・コルビュジエの都市論、パリ市都市計画局による都市デザイン)